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ドッグトレーナーが子犬を育てる Pt2

更新日:2021年4月20日

前回はフィオナを迎えに行った1日の夜まで書きましたが、今回は一晩明けた朝から書いていこうと思います。前回のブログはこちら

前回も書きましたが、子犬を受け入れる時は受け入れた次の2日間は休みである事が大事です。

この2日間は飼い主が色々教えるより、子犬に色々教えてもらう事が大事なのです。時々ルールを教えて行くのも必要ですが、基本は子犬の行動を観察することで今後どうすれば良いのかが分かってきます。

ドッグトレーナーが子犬を育てる

さて、フィオナを迎えて2日目の朝8時へ戻りましょう。

朝8時というとフィオナの朝ごはんの時間です。フィオナは迎えた当日の夜問題なくご飯を食べてくれて朝のウンチもいい固さだったので、今回はふやかさずドライフードだけであげてみる事にしました。あげたフードはオリジンのパピーラージ。ドライでも食いつきが良く、カリカリと美味しそうな音を立てながら食べて、ちゃんと完食してくれました。

フードの給与量は各メーカーによって違います。パッケージに書いてある体重に応じた量を基本にして、ご飯をあげてください。実際のフードと違う他のメーカーの軽量カップでは、目盛りと実際の量が違ってきます。できれば最初は普通のカップを使ってフードの量を計量器で測ってください。実際に他社のドッグフードのカップに書いてある160gの目盛りに合わせて160gのフードをあげていたつもりが、実際に重さを測ると80gしかあげていなかった方もいました。』


ご飯を完食したので水を必要な分だけ容器に入れてあげます。水を飲み終わった、もしくは途中で飲むのを止めたら容器を下げます。ここで必要以上に水をあげる、もしくはいくらでも自由に飲める様にすると、トイレが近くなり失敗が増えます。出来ればここは飼い主が水の摂取量を管理してあげる事が重要です。

『脱水してるかの確認方法。首の上の根っこあたりを軽く摘んで離して見てください。そこで皮膚の戻りがよければ大丈夫。逆に摘んで離してゆっくり戻る、あるいはちょっと山になって戻らない場合は水が足りていないということですので、水を与えてください。ちなみに人間の手の甲で同じようにやると同様の結果が出ます。この時期、マスクでなかなか喉が乾かなくてそのまま脱水症状を起こしてしまうというニュースを見ますが、手の甲を摘むと脱水症状を起こしているか確認できます。』



ご飯も食べ水も飲み、満足そうにケージの中でおもちゃと遊び始めるフィオナ。でも飼い主としてはまだゆっくりできません。なぜなら10分-15分以内にトイレをしたくなるはずだからです。子犬の頃は行動の節目ごとにトイレにいきたくなります。遊んだ後、食べた後、水を飲んだ後、起きた後(昼寝も含む)に大体おしっこをしたくなります。そのため、それに合わせてトイレに出してあげると上手にトイレをしてくれて失敗もしないはずです。

そろそろトイレに行くはずなので、フィオナのケージの扉を開けて「おいで」と言って抱っこをしないでフィオナを誘導しながら外のトイレの場所に行きます。そうするとケージからどうやってトイレに行くかを覚えてくれるのと、家の環境にも慣れてくれます。

ケージの置き場所に悩んでいる方は、出来るだけトイレに行きやすい設置場所をお勧めします。毎回抱っこして連れていかないと行けないような場所は避けてください。例えば寝床(ケージ)が2階でトイレは1階のリビングとかですと子犬が自力で行けません。例え階段を上り下り出来ても、まだ関節等が発達してないので階段の上り下りは避けたほうがいいです(1~2段は大丈夫です)。

こうやって自力で行けるようにすれば、トイレに行きたくなったら自分で行くようになります(間に合うかは別ですが…)


これぐらいの段差でも2ヶ月の子犬は石を使って上り下りできます。

フィオナは無事自力で外に出て、いつもの場所でトイレを済ませる事ができました。子犬は環境が変わると好奇心色々な物と遊び出してしまいますが、トイレをするまでは静かに見守ってあげてください。

トイレが終わったので外でちょっと走りながら遊んだりして褒めてあげます。中に入る時も抱っこせず自分のケージが置いてある部屋まで誘導して連れて行ってあげます。


もうお気づきだと思いますが、子犬のしつけについてはトイレのしつけが最優先で、スケジュールもトイレのタイミングで回ります。トイレが安定的に大体決まった時間にできるようになり、多少の我慢もできるようになれば自由度を増やしていきます。今はなるべくトイレを失敗させないのが目標ですので、失敗する可能性を低くする事が重要な鍵となります。

そして悪循環に入らない事が大事なポイントです。例えばかわいそうだから日中ケージから出して上げたいと思い、出していたら目を離した隙にオシッコをしてしまった。また失敗されると困るから一旦ケージに戻し、時間を置いてから出したらまた失敗した。こうなるとケージの外のリビングが犬のトイレであると間違った認識をしてしまい、失敗が多くなります。

ケージから出す時は一回トイレに行かせて用を済ませてからリビングで遊んであげてください。ちょっとでも目を離す場合はケージに戻す事も大事です。基本子犬を集中して見ていられない場合―例えばテレビを見ながらや仕事しながら、誰かと会話している時はケージに戻してあげてください。

ちゃんと集中して遊んであげれば、遊びも5分から10分程度でいいです。この段階ではそれ以上になるとトイレの失敗に繋がる可能性が高まるので注意。

10分程度遊んだらケージに戻す前にトイレに連れて行き、トイレをしたらケージに戻して上げます。



流れとしては、ケージにいる→ トイレ→遊び→トイレ→ケージの繰り返しです

最初の頃の一日の流れはこんな感じです。

ケージで起床→トイレ+ちょっと遊び→ケージ、ケージでご飯→トイレ→ケージ→トイレ→遊び→トイレ、ケージ→トイレ→ケージで昼ごはん→トイレ→ケージ→トイレ→遊び→トイレ、ケージ→トイレ→ケージで晩ご飯→トイレ→ケージ→トイレ→遊んで→寝る前のトイレ→ケージで就寝


ここで個体差が出るとしたら食事と食事の間のトイレの時間・頻度と、食事の前と後どちらにトイレをするかです。もしご飯食べている途中にちょっと離れてトイレをする子でしたら、ご飯を準備する前にトイレに行かせたほうがいいでしょう。ご飯を準備してからトイレに出すと、子犬はご飯が気になりすぎてなかなかトイレをしてくれなくなる子もいます。


意外とケージに居る時間が長い?

「ケージに入れるのはかわいそう」とよく聞きますが、ケージは犬にとっても飼い主にとっても大切なものです。特に子犬の時はトイレトレーニングだけでなく子犬自体の安全を守るためでもあり、子犬自身が安心して寝られる所でもあります。

3~4ヶ月になると飼い主にも慣れ行動力も増し、その代わりリスクも増えます。実際3~4ヶ月の子が出かけた飼い主を探すために脱走してしまい、迷子になった子も多くいます。家から脱走してしまった子犬の多くは家の中でフリーにしていたか、サークルにいた子たちでした。

ちなみにスカイ、アイラ、ロナは夜眠たくなったら自ら「2階にあるケージに入っていいですか」アピールを階段の下でします。リビングにフカフカのコストコのベッドがあるにも関わらず、やっぱり落ち着いて寝られるのが彼らにとってケージ、いや自分の部屋のようです。


何でケージにいることがトイレトレーニングになるの?

基本的に犬は寝る場所をなるべくきれいに保ちたい生き物です。その習性によって、トイレのタイミングを決めることができ、我慢も覚える事もできます。最近CMで見ましたが3匹に1匹はマナーウェアを使っているとの事。大半の原因はトイレを我慢することを知らないからです。

スカイラボでトイレのしつけに関してご相談される方の多くの共通点は、トイレを寝床と一緒に置いてある、もしくはいつでも行けるようにしてるという点です。24時間いつでも行ける状態を作っている限り直りません。なぜなら犬にとってトイレを我慢する必要がないからです。それに慣れてしまった犬は例え家の中でも数分単位でちょこちょこおしっこを至る所でしてしまいます。悪気があってやっている訳ではありません。単に今まで我慢する必要性が無かったからです。この問題は我慢するトレーニングをすれば高い確率で直ります。実際に他のトレーナーから直らないと言われて諦めてしまった子も直っています(直らないと言い切ってしまうトレーナーも正直なところどうかなと思いますが…。スカイラボでは、ここで直すのが厳しいと感じたら、その問題や犬種に特化したトレーナーを紹介します。大切なのは犬と飼い主がより楽しく毎日を過ごせるようになる事です。病院でその病気が治るように他院を紹介するのと同じです)。


ケージから出す時の練習

トイレを出すタイミングでケージの出入りがたくさんあるので、ついでにケージの扉を開けて欲しい時はお座りをして待つことと、ケージから飛び出さない練習をするのも良いでしょう。出す前におすわりと声をかけてから出す、開けて飛び出しそうになったらもう一度閉める動作をする。とてもシンプルな練習ですが、繰り返しやることでケージに近寄ればスッと自分から座って扉を開けても待ってくれるようになります。



さて、話をフィオナに戻します。初日はスカイ、アイラ、ロナ、ジュラとゆっくり顔合わせができなかったので、外の庭でみんな集まって顔合わせをしました。みんなとフィオナを会わせてみたら、フィオナは真っ先にアイラの元へ行き甘えていました。アイラにお母さんの経験があると分かるんですね。その後ほかの犬達にもぴょんぴょん跳ねながら挨拶をしていました。(先住犬と新しい犬の顔合わせなどついては長くなるのでまたブログ書きたいと思います。)


アイラに甘えているフィオナ

1匹隠れてる?

挨拶が終わり、ちょうどお昼の時間になったのでフィオナのお昼をあげました。基本的に子犬が生後6ヶ月になるまでは一日3回ご飯をあげるのが望ましいです。子犬は消化が早くすぐお腹が空いてしまうので、時間が開きすぎると空腹で胃液を吐いたりしてしまいます。また、子犬用のフードは1歳まであげるのが良いです。


お昼を食べたので水をあげ、10分後にトイレをさせてから一人の時間を作ってあげました。するとケージの中に置いてあるコングのゴムのおもちゃと少し遊んだ後、静かになり寝始めました。

特に起こす必要がなければ寝かせてあげるのが一番です。ご家族にまだ小さい子供がいる場合は、寝ている時はそっとしておいてあげてね、と言ってあげてください。子犬は眠っている最中、今まで経験した事や学んだ事を復習しています。たまに夢の中で走ったり吠えたりして、体がピクピクしたり寝言を言ったりして痙攣の様に見えますが、安心して見守ってください。



午後はトイレに出したりしながら家の環境に慣れさせ、アイラにあやされたり遊んだりして過ごしていました。遊んでいる時も、たまに外に誘導してトイレに出してあげて、なるべくトイレを成功させるようにしてあげます。



夕方になりスカイラボのお客さまたちも帰ったので、スーパーの買い物ついでにフィオナの社会勉強をさせる事にしました。

まだワクチンが効いてないので抱っこで街中の大通り沿いを歩いたり止まったりして、行き交う人や車を観察しました。

スカイラボにきたことのある方々はご存知の通り、私たちが住んでいる所は田んぼに囲まれた散居村で人も車もあまり通っていません。そのため、フィオナにとって街中の環境に慣れてもらうために、あえて苦手かもしれない交通量の多い所に連れて行きました。社会勉強の重要なポイントは、苦手とする物にどれだけ慣れさせるかです。そのためにはどんどん慣れていない所に連れて行く必要があります。



今回のフィオナの冒険は意外とあっさりに終わりました。大きなトラックが勢いよく通ってもフィオナはただ見ているだけでした。抱っこしている事もあり、特に怖がる事もなく普通に受け入れていたので、早めに切り上げることに。次回の大通り沿いへのチャレンジは、散歩ができるようになってから再挑戦、それでも大丈夫だったら踏切や駅の近くも行ってみてどんどんハードルを上げていきます。

仮にもしフィオナが怖がってたら慣れるまでそこから離れないようにします。 今は好奇心が多い時期でもありますが数週間後には恐怖心も芽生えて来るので今のうちにいろんな物を経験させる事が重要です。




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