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ドッグトレーナーが子犬を育てるPT6(最終回)

更新日:2021年4月20日


ラブラドール-ゴールデンレトリバー-ドーベルマン-ドッグトレーナーが子犬を育てる

犬のまだ知らない才能を開花させるきっかけ作り

子犬の時にちゃんと社会性を伸ばしてあげる事で、物事に対して落ち着いて対応ができたり、どんな環境でも適応できるようになったり、性格も穏やかな方向に変わっていきます。社会性を身につけるは人間の社会に慣れさせるのも大事ですが、犬の社会も同時に経験させてあげる必要があります。どちらかに偏ってしまうとバランスが崩れ、経験の少ない方が苦手になるケースも多いです。

例えば、普段街中で散歩をして室内で飼っている犬は、人には友好的に接しますが、犬を見た瞬間吠え出したり怖がったりしたりすることがあります。反対に普段は人があまりいないところに住んでいて、ドッグランに毎週行っている子はどんな犬が来ても落ち着いて対応ができるものの、初めて会う人に警戒してしまう事もあります。

もし田舎に住んでいて今後犬を連れて街中に行くつもりが無くても、若いうちに何回か経験させてあげると良いでしょう。ドッグランも将来使うつもりが無くても、子犬の時に数回連れて行ってあげることで犬社会を学ぶことができます。ドッグランデビューや他の子と遊ばせ始めるのはなるべく子犬の時にすることをおすすめします。なぜなら、子犬の時は子犬特有の匂いがするので、それのおかげで子犬は守られて、他の犬は「まだ子犬だから」と多めに見てくれる事が多いです。普段犬同士のマナーに厳しい犬でも、子犬だったら怒らず逆に面倒を見て遊んでくれることもあります。人間でいうと免許取立ての新人ドライバーが若葉マークをつけているのと同じ感覚です。目の前を走っていたらいつも以上に車間を開けてあげたり、右折で戸惑っていてもゆっくり待ってあげて応援したりします。

ただ、犬社会も人間社会と同様に、たまに意地悪をしたり子犬だと分からず対応したりする犬もいますので、初めてドッグランに行く時は入る前に各飼い主に「パピーで初めてなんですけど入れても大丈夫ですか?」と確認すると安心です。


子犬の時期はやった事のない事をどんどん楽しく経験させていく事が大事な時期です。色んなところに連れ出してあげましょう。

将来何を一緒に経験したいのかを思い描いて、自分と愛犬のやりたい事リストを作るといいです。

フィオナは将来、犬と人に優しく、一緒に自然の中で自由に遊んでスカイたちと一緒に川で泳がせたいですし、今後鳥猟犬にも挑戦するので以下の様なリストを作ってみました。



フィオナに経験させたい事リスト


近所での散歩 ✔

川遊び ✔

小型犬や超大型犬と一緒に遊ぶ ✔

車でドライブ ✔

花火 ✔︎

雷 ✔

スターターピストルの音 ✔

色んな人に触ってもらう(子供から高齢者)△

猫との遭遇 ✔

森の中で散歩と遊び ✔︎

山登り ✔︎

海で遊ぶ

自転車に乗ってる人とすれ違う ✔︎

バイクに乗ってる人に遭遇する ✔︎

2回目のホームセンターで一緒に買い物 ✔︎

近くのコンビニで人間観察 ✔︎

郵便局でバイクに乗った配達員の出入りや人間観察 ✔︎

消防署や警察署でサイレンに慣れさせる ✔︎

大通り沿いでの散歩 ✔︎

踏切や駅周辺で散歩 ✔︎

飛行場近辺で散歩

ドッグラン ✔︎

ペットホテルでお泊まり経験

親友や親戚の家に訪ねる


✔経験済みで問題ない(9月時点)

✔︎経験済みで問題ない(12月時点)

△経験ずみだが状況を変えながらもっと経験させたい

▲経験済みだがちょっと苦手

✖️経験したが苦手もしくは問題あり


こうやってリスト化すると9月時点ではフィオナは自然の中の遊びや犬との交流が多いものの、人や人工物の経験が少ないのが分かりますね。次は大通り散歩や駅周辺散歩に挑戦してみる事にします。



一つ一つの項目にはそれぞれ理由があって入れています。例えば花火、雷は確実に毎年経験する物で、早い段階から音に慣れさせると、怖がらず例え真上で花火が上がっても動じません。ブログでも花火に慣れさせる方法を書いていますのでどうぞ参考にしてください。

スターターピストルも音関係ですが、狩猟に出た時に散弾銃の音にびっくりしない様に破裂音に慣れさせるのが目的です。

コンビニや郵便局で人間観察は、幅広い年齢、格好、見た目、国籍の人たちが行き交うからです。犬は飼い主以外の人を人として最初は理解していません。そのため、普段は吠えないのに腰が90度に曲がったおばあちゃんや車椅子に乗った人を見かけると激しく吠え始めて気まずい経験される方も多いと思います。それは犬が、その人が何者かが理解できず警戒して吠えてしまっているからです。なるべく多くの人を見て学ばせる事が必要です。その中に犬好きな人がいたら触ってもらう事も大事です

郵便局で観察する理由はもう一つあります。それは配達員とそのバイクに慣れさせる事です。

普段から郵便屋さんが家に来てポストに郵便物を投函していくと思いますが、犬からしてみれば独特のバイクの音でサッと来て、カンという投函する音をさせてからすぐ去ってしまうので、誰が何をしに来たのかが確認できず警戒して吠えたりします。それをなくすために一番出入りが多い郵便局で、その音の元となるバイクと配達員に慣れさせるために観察させます。配達員がどういう人で危害を加えないと分かれば気にしません。もちろん犬好きの配達員に撫でてもらうとより効果的です。


ここで重要なのは苦手だから避けるのではなく、苦手だからどんどん経験させていき大丈夫だと思わせてあげる事です。怖がっているから抱っこをしたり庇ってしまうと、犬はそれが本当に怖い物だと認識してより恐怖心を持ってしまいます。たまに音に敏感な子がトレーニングで来ますが、飼い主は音に敏感だからなるべくびっくりさせない様に配慮したりされていました。それは恐怖心をさらに大きくさせてしまっている事と同じなのです。スカイラボでその子を預かってからあえて物を落としたり、急に手を叩いたり、大きな音を鳴らして大きな音が鳴っても何も起こらないない事、むしろ楽しい事だと教えます。最初は飛び上がるほどびっくりしていましたが一緒に笑って撫でてあげて、楽しい雰囲気を出してあげれば、だんだんびっくりしなくなり落ち着けるようになりました。

最終的には大きな音にも反応しなくなりましたが、内心びっくりするところが可愛かったのでちょっと複雑でした。。


色々経験させるのはとても大事なことですが、まだ子犬って言う事をお忘れないように。

例えば川遊びをする時水が冷たいと成犬に比べて体が冷えやすいので、例え楽しそうでも体の震えが始まったら一旦休憩させてください。

犬種にもよりますが、ラブラドールの子犬にはアジリティや何度も飛び降りたりする激しい運動はさせない様にしましょう。14ヶ月までは関節の成長が完璧に終わらないと言われているのでそれまで関節に衝撃が多い激しい運動は頻繁にさせない方が良いと言われてます。



トレーナーに相談

もし飼い方に不安を持っている場合やしつけが上手く行ってない場合は、癖になる前に早めに一度トレーナーに相談する事をお勧めいたします。その場合その犬の性格、犬種、どう飼って行きたいか次第でトレーナーを選ぶと良いでしょう

例えばラブラドールで普通に家庭犬として子供たちと遊んで、週末は思い切りアウトドアを楽しむ場合は、警察犬の訓練所は不向きな場合があります。スカイラボでも何人かレトリーバーを子犬の頃警察犬の訓練士に預けた方がいらっしゃいました。レトリーバーの明るい性格が厳しい訓練によりすごく暗くなってしまって、何も興味を持たなくなり、感情がとてもフラットになってしまった子がいました。その時は、訓練士にあまり褒めるなと言われてそれを守ってきてしまった分、犬にとって何もかもモノトーンになってしまったのです。ロナを例に遊び方と褒め方を伝えたら、思わず飼い主がびっくりしながらこんなにテンション高くしかもわちゃわちゃに褒めて良いんですかと質問されました。遊びは楽しくないと犬もモチベーションが上がらないので、目一杯褒めて、いっぱい子犬らしく遊んであげましょう。今までおもちゃにも興味が無かった子がロナの遊び方や嬉しそうに褒められるのを見ていたら、自然と自分から飼い主と遊ぶ様になりました。今は雪山を一緒に駆け抜けたり、湖で一緒に泳いだりしてとても楽しそうにしているようで、何より犬も、犬を見つめるご家族もとても明るくなったように思います。


他にも飴と鞭の訓練が厳しすぎて犬自身で考えて行動が出来なくなり、人がちゃんと一つ一つ指示しないと動けないようになってしまったレトリーバーもいました。指示で動く子はとてもお利口と思いがちですが逆にちゃんとした指示が無いと混乱して動けなくなってしまい、ドッグランでは全く遊べなかったり引っ張る箇所を修正しても指示が無い限りすぐ忘れて引っ張り出したりしてしまいます。お預かりしたその犬は勘の悪い犬と思われてしまっていたのですが、トレーナーとして観察してみるととても頭の良い子なのに若い頃警察犬訓練所の厳しいトレーニング全く合わなくて、考えられなくさせてしまったという印象でした。実際に問題行動が何一つ改善されていないのに訓練士の前ではとても良い子。私がお散歩をすると「訓練士現象」が出てきてしまっていました。「訓練士現象」は幼少期経験した、以前もお話ししたおやつを使った訓練の仕方が定着してしまって、数年経った今でも、おやつを使わないトレーナーでもおやつを期待してしまうという現象です。それも訓練士にしか見せない行動。すなわち家族が散歩すると好き放題で引っ張りますが、訓練士が散歩すると見返りにオヤツを貰うのが前提で上手に歩いている感じです。ただそこで貰えないとわかると、この人は知っている訓練士とちょっと違う…と思い引っ張り出す、もしくは散歩中おやつが欲しくてやたらと手を舐めたり甘噛みしてきたりします。

そうなるとある程度条件が揃わないと落ち着いて過ごすことができない犬になり、なかなか穏やかに過ごしたり言う事を聞くことがてできなくなります。


スカイラボとしては、特に子犬の時期は基本的になるべく家族でしつけを頑張ってもらう事をお勧めします。もちろん、それができるようスカイラボとしても無料しつけ相談や飼い主と一緒に行う散歩のレッスン、随時LINEでご相談いただいたりなどサポートしています。子犬の時期は飼い主と犬にとって、信頼関係を作り上げるとても大事な時期なので、よほどの事が無い限り家で犬と向き合いしつけをやっていくことが将来的に良いことで一番効果的な訓練になります

例えば甘噛み、飛びつき、無駄吠え、散歩の引っ張り、トレーナーと一緒でも良いので飼い主もしつけをしないと意味がありません。もちろんスカイラボで預かって1日で修正することも出来ますが、それはスカイラボとトレーナーの間で直った事で、家に帰ったらまた問題行動が始まる可能性があります。その理由としては飼い主や家族自信が接し方を変えないと、犬も変わらないからです。端的に言うと家では無意識でも問題行動が許されているからやってしまう、トレーナーの所ではやっても意味がない(無駄吠えをしても反応がない、飛びついても構ってくれないなど)からやらないの違いです。

甘噛み、飛びつきのしつけ方法はPt3に記載されていますので読んでみてください。

一方、習慣を変えてあげる必要のあるトイレの問題や、仕事やスケジュールの関係でなかなか改善することが難しい場合は、スカイラボで短くて2日から長くても7日ほどお預かりのトレーニングもしています。お預かり中トイレのタイミングや仕方、問題行動の改善へのベース作りをして、飼い主がして欲しい時間帯にトイレができるようにしたり、問題行動を改善へと持っていきます。


時々、子犬の時にやりたい放題させてしまった結果、反抗期や1歳の頃にトレーナーに2~3ヶ月預けることになった事例を見かけますが、結果的には同じようにトレーナーの元では良い子だが家に帰って数日後元に戻ったというケースが痛いほどあります。ビジネス的な面でもトレーナーからすると子犬は一番教えやすく癖がさほど無いので扱いやすい。そして劇的に変わってくれる可能性があるので、長く預けても変わった姿を見せれば無駄では無かった、思ってもらえる可能性が高いです。長く預けてもらえば収入に繋がりますから、数ヶ月の長期の預かりを提案されてしまうこともあります。

そもそも子犬の時期は犬にとっても飼い主にとっても、とても大切な時間なので長く預けない方が良いのです。親犬からの遺伝、家に来る前の環境、健康状態以外からくる問題行動は、飼い主の行動や接し方に起因することが多いですから、飼い主を含む犬に関わる人が行動を変えない限り犬も変わりません



犬の世界を広げる

パピーの頃に社会性を身につけさせてあげて同時にルールも教えてあげると、犬ができることが増えて世界が広がります。パピーの頃に教えていないと成犬になってから問題になる事も多く、そこから直すのはパピーに比べると大変です。犬は可愛いししつけするのがかわいそうと思って何でも自由にさせてしまうと、最終的にかわいそうな思いをするのは犬です。犬は色々教えてあげて体験させてあげれば、グングン世界が広がります。そのためにはたまに心を鬼にする必要もあり、時間をかけてどんどん挑戦させる事が必要です



例えば、初めての散歩に行こうと思ったら子犬が怖がって動かないしかわいそうだから散歩に連れて行かないという選択をする人もいると思います。そうすると、犬はずっと外の世界が怖いままで何処に連れて行くにもストレスを感じてしまいます。それは犬にとってはもちろんですが飼い主自身もとっても一緒にできることが減ってしまいます。もしそこで時間を掛けてゆっくり克服させて散歩に行けるようになれば、新たな世界と可能性が広がります。

そして、「犬が怖がっている」の逆のパターンもあります。飼い主が心配、または不安で新しいことに挑戦させられないケースです。吠えるかもしれないから人がいるところには連れて行かない、他の犬が苦手そうだからドッグランに行ったら喧嘩になるかもしれない、といったことです。その心配や不安は犬にも伝わってしまいます。少しでも不安を取り除けるよう、相談したり複数人で犬を見たり、小さいことから少しずつチャレンジするのも方法です。

犬は無限の可能性を秘めています。もちろん、成犬になってから、シニアになってからもあらゆることに挑戦できます。挑戦させてあげたい、将来これを一緒にやりたい、楽しい、などの飼い主の気持ちは犬に伝わって、犬も頑張ろうという気持ちになります。


犬との関係性がしっかりできて、犬もやっていいことと悪いことを理解してくれれば、犬の自由度を高めることができます。スカイラボでもトレーニングに関しては2歳(成犬)になるまではストイックですが、それ以降はもう全部教えたので基本的に自由です。ただ最低限のルールは守っています(おやつは基本的になし、極力一緒に寝ないで夜はそれぞれケージ、ソファーに乗る時は許可制、先住犬が優先など)。そしてシニアになる頃には残りの犬生を制限なく楽しんでもらいます。今までおやつや人間の食べ物をあげてこなくてもシニア、ハイシニアになった頃にはあげても良いと思います。今まで以上にいっぱい甘えてもらって、今まで同様一緒にいる時間を大切にする事が一番大事ですから




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